インタラクティブCG

「インタラクティブ」について

「インタラクティブ (interactive) 」という単語は, 「相互作用的」「双方向性」「対話式」などと訳されます. 「インタラクティブである」とは, 例えばコンピュータのキーボードをタイプすれば画面に文字が表示され, マウスを動かせばポインタが動いたり線が引けたりするような状況のことを示します. すなわち, ユーザの操作に対して即座に何らかの応答を返し, それをもとにユーザが次の操作を行うことができるような場合を, インタラクティブであると言います.

CG はもともとインタラクティブなもの

コンピュータグラフィックス (以下 CG) の起源とされる Ivan SutherlandSketchpad というシステムは, ペン型のセンサを使ってディスプレイ上に直接図形を描いたり, 操作したりするものでした. また, 最初の CG の教科書は “Principles of Interactive Computer Graphics” というタイトルでした. このように CG は, その生い立ちにおいて, インタラクティブな応用を目指したものでした.

CG の映像制作への応用

コンピュータの性能やディスプレイの表示能力の向上に伴い, CG 技術の研究は, その表現力を向上する方向にも発展していきました. その結果 1980 年代の初めには, 映画などの映像制作にも CG が応用されるようになりました. しかしそのような CG は, 品質の高さ (リアルさ) と引き替えに, 作成に長い時間がかかるようになってしまいました. このような CG はインタラクティブではない CG と言えます.

当時, 映像の制作に利用できる機能を持つコンピュータは非常に高価だったので, 一般の人が目にする CG は映画のような映像作品がほとんどでした. そのせいか, このインタラクティブではない CG が, いつしか CG の主役として認知されるようになりました. 「CG を作る」ということが, とりもなおさず静止画像やムービーを作ることを指すようになっていったのです.

CG 技術の応用分野

しかし, 当時 CG に関わっていた人の多くは, そのような CG を実際に活用できる場所が少ないことに不安を感じていました. 静止画像やムービーを制作するという仕事は, 実際にはそれほど多く存在しないのです. 多くの人が CG の応用範囲を拡げる必要性を感じていました.

ここで映像制作以外の領域に目を向ければ, CG 技術がとても普遍的なものであることに気づきます. インタラクティブなものの例として挙げたコンピュータの画面表示も, CG 技術の上に成り立っています. コンピュータゲームも CG 技術抜きには考えられません. 自動車などの工業製品のデザインに用いられる CAD (コンピュータ支援設計) システムは, CG 技術の集大成と言えます. CAD システムの中には, 映像制作も可能な CG システムを包含しているものもあります.

インタラクティブ CG の重要性

このような CG 技術の応用において最も重要な要素は, やはり「インタラクティブである」という点にあります. コントローラの操作に画面表示が追従できないようなゲームは楽しくないでしょう. デザイナが車のボディデザインに修正を加えたとき, 結果を見るまでに長い時間待たされたりすれば, その間に彼の発想は蒸発してしまうでしょう. 精密なシミュレーションの結果にもとづいて可視化を行う場合のように, 時には時間をかけてムービーを制作する必要がある場合もあります. しかし, そこにもシミュレーションの条件をインタラクティブに変更して, 結果を比較したいという要求が存在します.

「百聞は一見に如かず」と言います. 情報を映像として再現することは, コミュニケーションの基本でもあります. その点で CG 技術は, 人とコンピュータや, コンピュータを介した人と人とのコミュニケーションにおいて, 非常に重要な技術です. また現在では, インタラクティブ CG でもかなりリアルな映像の作成が可能になってきています. 本研究室では相互理解のための CG 技術として, このインタラクティブ CG を興味の中心に置いています.