■ 2006年09月13日 [雑文] 国際会議に行ってきた
Barnsley に会った
8月は特に忙しかったわけでもないのに,ブログを書くのを飛ばしてしまいました.まあ,ブログの更新間隔が1ヶ月ということ自体間違ってるんですけど.それで今まで書きそびれていたんですが,7月末に国際会議に行ってきました.他の日本人の発表者が修士の学生さんばかりだったことがかなりショックでした.でも,座長があの fractal の大家 Michael Barnsley でした.セッションが始まる前に準備をしていた彼と2人きりになったので,一緒に記念写真を取らせてもらいました.
次からどうしよう
今回は旅費と参加費を大学から出してもらえて本当に助かりました.でも,そう何度も大学から出してもらえるわけではありません.そうなると,科研費か何かをもらわない限り行くチャンスがありません(セコイかもしれないけど自腹は切りたくないし,ここで自腹を切るのはおかしいと思うから).ただ,ある先生の科研の報告書を読んで,やはり自分の研究には科研費がもらえるほどのビジョンがないと確信してしまったので,これは今後も望み薄に思えます.
大学からは明に暗に業績の積み上げを求められているので,授業だけして済ましているわけには行きません.国内で開かれる国際会議を目ざとく見つけるとか(研究コミュニティに積極的に参加していないせいか見逃してばかりいるけど),別刷り代のいらないオンラインジャーナルに絞って投稿するとか,そういうお金をかけない方法を考える必要があります.
それにしてもお金が無い
最近,同僚のある先生が,自分で自分に寄付をしたそうです.個人宛にもらった助成金を大学で使えるようにするために自分に寄付したのかと思ったら,この同僚は自腹のお金を自分に寄付したそうです.研究費が底をついたという理由で.
実際,研究費はプリンタのトナー代とか,学生さんのマシンやソフトウェア代で消えていきます.今年,私は論文の別刷り代を研究費で払ったので,あとは OpenOffice.org を使ってもらっている学生さん用に Microsoft Office のライセンスを購入すると,今年の研究費は大体底をつきます.学生さんの Pentium III マシンもリプレースしたいのですが.出張もできないなぁ.
話によると,来年この状況はさらに厳しくなるらしいとのことで,いったいどないせいっちゅうねん.
去年、お金があまってるからプリンタでも買おうか!<br>とか言ってたのが嘘のようですね☆
そういや,そんなこと言ってました.<br>インクジェットプリンタは安いんですよ.<br>別刷り代に比べりゃぁ…
すごい場違いですが、LODバイアスについて教えていただけないでしょうか?ネットで探しているのですが、よく説明が理解できなくて・・・。
斉藤さま,コメントありがとうございます.LOD バイアスと言うのは,テクスチャマッピングのお話でしょうか.<br> MIPMAP は,マッピングするテクスチャの解像度を表示されるオブジェクトの大きさに合わせることで,テクスチャが縮小される際のエリアシングの発生を抑える機能ですが,そのためにあらかじめ解像度(レベル)の異なる画像を複数用意します.<br> LOD バイアスは,MIPMAP が有効なときに,<br><br> GLfloat bias;<br> glTexEnvf(GL_TEXTURE_FILTER_CONTROL, GL_TEXTURE_LOD_BIAS, bias);<br><br>とすることで MIPMAP の他のレベルの画像をマッピングできるという機能です.ここで bias は少なくとも -4.0〜4.0 の範囲内の値で,値が大きいほど標準より高いレベル,すなわち解像度が低いテクスチャがマッピングされます.例えば bias に 2.0f を設定すると,少しぼけたテクスチャがマッピングされます.<br> なお,設定可能な bias の範囲は,<br><br> glGetFloatv(GL_MAX_TEXTURE_LOD_BIAS, &bias);<br><br>で得られます.
こんにちは。<br>斉藤さんが知りたいのが「LOD バイアスの使い方」であれば床井先生のご説明で済むのですが、「LOD バイアスがなんのために存在するのか」ということであると、MIPMAP とかリニア補間の原理といったところの解説が必要になりますね。<br><br>このあたり、私も理解できていなかった頃に悩んだ記憶があります。たとえば GL_TEXTURE_MIN_FILTER に MIPMAP が設定できるのに GL_TEXTURE_MAG_FILTER にはなぜ設定できないのか、とか。原理がわかると当たり前なのですが、わからなくても OpenGL を使うだけなら使えてしまうので、その先に行ってから困るわけです。<br><br>そういった意味でも、床井先生のこのページは自分の知識をあらためて確認しなおすのに大変役に立っています。
返信ありがとうございます。<br><br>MIPMAP時のどのテクスチャを選択するかという計算式に影響がでるのですね。このMipmapの計算の式というのはOpenGLで公開されているのでしょうか?<br><br>また、Seagul-Xさんの書かれている”MIPMAP とかリニア補間の原理といったところの解説”というのは、床井さんのHP内にありますでしょうか?<br><br>よろしくお願い致します。
Seagul-X さま,ありがとうございます.そうですね,使い方自体はググればそれなりに出てきますものね.このページの目的は一応研究室の学生さん向けの資料なので,できるだけ基本的な考え方を理解してもらった上で機能を使いこなしてもらえるように書こうと努めてはいるのですが,充分書けてるとは言い難いです.でも,Seagul-X 様のようにおっしゃって頂けると救われます.<br> 斉藤様,申し訳ないのですが,MIPMAP やリニア補間の説明などは,私の Web ページ上にはありません.実は講義資料として学内向けに公開しているものがあるのですが,都合により学外からは見られなくなっています.ご了承ください.また OpenGL において MIPMAP のレベルを決定する計算式ですが,私の手元の資料では記述を見つけられませんでした(見落としているのかもしれませんが).一般的には,スクリーン上に投影された三角形の各頂点の位置と,それに対応するテクスチャ座標とをもとに,テクスチャのサンプリングのための変換式を作るので,そのスケール成分から MIPMAP のスケールを決定するという手順になると思います.
もしかしたらすでにご存知かもしれませんが web で見つけた説明をふたつばかり。どちらも式とかは出てこないのでお役には立たないかもしれません。おまけに LOD バイアスの話はかけらも出てきません。<br><br>http://www.daionet.gr.jp/~masa/column/98-06-27.html<br>http://www.4gamer.net/specials/3de/nv_at/nv_at01.html<br><br>自分でも説明してみようと思ったんですが、仕事柄か、どうしても実装アルゴリズム寄りの説明になってしまうので断念しました。<br>つまるところ、画面上のピクセルもテクスチャのテクセルも点ではなく大きさを持ったものである以上、1 ピクセルに 1 テクセルがぴったりと対応するということはまずなく、1 ピクセルの面積の中に複数のテクセルの断片が含まれることが多いわけです。その影響をいかに計算するか、という方向で出てきたのがこういった技術なんですよね。
Seagul-X さま,ポインタありがとうございます.勉強になります.ところで,OpenGL の MIPMAP はトリリニアでも異方性フィルタリングでもないんですよね.テクスチャ貼ったポリゴンを斜めから見ると,MIPMAP のレベルの境界がはっきり見えたりします.ビデオカード自体はこれらの機能をサポートしているものがたくさんありますから,コントロールパネルかなんかで設定するしか無いとすれば,ちょと歯がゆいですね.
あれ? glTexParameter() で GL_TEXTURE_MIN_FILTER に GL_LINEAR_MIPMAP_LINEAR を指定したら Tri-linear になりませんか?青本の説明でもそうなっていますし、仕事で使っている PC では(すこし前のチップセット内蔵グラフィックスですが)、これでレベル境界もきれいにボケましたよ。<br><br>MIPMAP は OpenGL 側で自動的に作成できるので普段は任せきりになるのですが、こういう実験をするときには手間がかかっても自分で作成して、いろいろ細工をするとわかりやすいですね。<br>これも昔あるサイトにあったサンプルプログラムでみたのを真似してよく使っているんですが、MIPMAP のレベルごとに違う色をブレンドしたテクスチャを作成するとレベルの切り替わる境界がよくわかります。<br>LOD バイアスを変えると使われるレベルが変わるというのも一見してすぐにわかりますよね。
Seagul-X さま,はい,ボケをかましておりました.GL_LINEAR_MIPMAP_LINEAR はトリリニアのことでした.ただ,私が貼ったテクスチャでは,MIPMAP のレベルの境界がぼけつつも見えてしまっていたので,そう思い込んでいました.これは異方性フィルタリングや Summed Area Table なんかじゃないと,除去できないものだったのかも知れません.<br> MIPMAP のレベルごとに違う色のテクスチャを使うというのは,面白い実験だと思いました.